鄙の遅春

鄙(ひな)というのは、味わいのある響きと奥ゆかしさを感じさせる言葉です。
クルマで田舎道をドライブしている時、
都(みやこ)に対置するこのコトバを思い浮かべました。
はるか万葉集の和歌に
あおによし 奈良の都は 咲く花の にほふがごとし 今盛りなり
とありますが、
都の華やかさは心を浮きだたせるものがあります。
一方、鄙の素朴さは
懐かしさやしみじみとした情感や、
ただ一言「ああ、いいなあ」とつぶやくような
そんな気持ちにさせる雰囲気があり好きです。
これから柏崎の山里は花の季節です。
山に残雪を仰ぎ、
鎮守の鳥居を遠く望み、
鳥の歌声、虫の羽音を聞き、
過ぎこし季節の労苦をようやく肩からおろす。
そんな春は、誠にうれしい季節です。
咲く花の にほふがごとき 華やぎも いかでか知らん 鄙の遅春

日々感じること

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