ロスジェネの逆襲

半沢直樹シリーズの第三部を読了。一気に読んでしまった。
娘が通う小学校に「かざまき文庫」というPTA用の読書コーナーがあります。
PTA総会などの折に利用を呼び掛けているのだが、回転は今ひとつよくないとのこと。
そういう自分だって、去年まで「かざまき文庫」で本を借りたことがなかったのですが。
でもせっかくの機会だから、今年度は積極的に借りてこようと思っています。
それで、今回は『ロスジェネの逆襲』を借りてみたのですが、
読んでいてスカーっとする小説でした。
著者いわく「現代版チャンバラ劇」。うまいネーミングですねぇ。
善悪の対立がはっきりしていてとても分かりやすい内容でした。
清々しい主役方のセリフに共感を覚えると共に、
こういうふうに生きられたら気持よいよなぁと羨望の気持を抱きます。
一方で敵方の描写も人間の一面をえぐりだし、
腹の奥がうずくような気持にもなりました。
自分自身の我欲や弱さや未熟さを見せつけられたかのような気分です。
自分には銀行という組織で黒幕になったりたくらみを実行したりするなどということは
遠い世界の出来事ですが、
そこにつながる心の闇、何をしでかすかわからない不透明感は
とても身近に思えるものです。
それが心の本質であり、暴流(ぼる)というものでありましょう。
それを調え、調えし、何とか洪水をおさえ
煩悩(ぼんのう)と折り合いをつけているのが
自分の現状なのです。
「正しいことを正しいと」言い、行動を起こせばよいのだ、と主人公は言いますが、
それが「簡単に」できたら解脱しているのでしょうね。
スーパーヒーローになれない自分は、
仏祖の教えを頼りに、振りかえり振りかえり歩いて行くしかない。
それから主人公は言葉を接いで、こうも語っていました。
「仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。
その大原則を忘れたとき、人は自分のためだけに仕事をするようになる。
自分のためにした仕事は内向きで、卑屈で、身勝手な都合で醜く歪んでいく」
布施行ということですね。
仏教の言葉や教えを使わずに仏法が展開されているところがすばらしいなと思いましたが、
我田引水というものでしょうか。

日々感じること

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